引きこもりの相談『心理面をカウンセラーが解説』

家庭 子育て 友人関係 学校

2023.04.08

引きこもりの相談『心理面をカウンセラーが解説』

引きこもりの相談について

親としてどのように声をかけたら良いのか心配

カウンセリングの場で出会う引きこもりの方は完全なる引きこもりというよりは通院や近所の買い物など少しの外出はできるが、学校や仕事に行けない、電車や車などで遠出ができないなどの程度の方が多いです。ですが、積極的に外に出たがらない子どもに対してどのように声をかけたらいいのか、どの程度本人の意思を尊重して良いのか、というところに悩む親が多いという印象です。

学校に行かせようとしたり、外に連れ出そうとする『親子のぎくしゃく』

クリニックのカウンセリングでは特に不登校から引きこもりがちの生活になる、ということが多いです。不登校の初期は親は何とか学校に行かせようとし、外に連れ出そうとします。しかし、それが功を奏さず不登校が長期化すると次第に親は疲弊し、諦めていくことがあります。諦めていくことで親が積極的に外に出そうとすることも少なくなる(出そうとしても子どもが強く抵抗する)ため、次第に引きこもりになっていくことが考えられます。

家庭内での親子の関わり方が分からなくなってしまう

引きこもっている本人も、引きこもりの状況に満足しているというわけではないことが多いようですが、親にとっては満足しているように見えてしまうこともあります。その様子に親はもどかしく思い、小言を言ってしまうこともあるようです。しかし、それに対して子どもが反発し、親子関係が悪化するということは珍しくないことだと思われます。

また、子どもも苦しんでいるということはわかっているけれども、家庭での一部の行動(昼夜逆転、ゲームやネットに依存しているなど)にとらわれてしまい感情が揺さぶられることも多いようです。この場合もどの程度の距離感で、どの程度の接触をもつことが良いのか、ということがわからなくなってしまう親も多くなります。

親自身の自我が不安定で、相手の反応を見ながら適切な対応をとることが難しくなっているケースも

また、自分の育て方が悪かったのか、といった子育ての仕方について自分自身を責める親もおられます。実際に幼少期から過干渉で何事にも先回りをしてきすぎてしまった親や子どもをコントロールしようとしすぎてしまった親、など子どもへの関わり方に問題がないとは言えない親も中にはおり適度に反省し、関わり方を自然と修正していける方もいます。

ですが、今までのやり方が悪いとなると次はどうしたらいいのかがわからなくなってしまい、全く関われなくなってしまうケースもあります。親自身が自我の発達が不十分で、自分の意思や相手の反応を見ながら適切な対応を取ることが難しい、自分の立ち位置やスタンスを決めることが難しい、ということは少なくないという印象を受けます。

さいごに

子どもの引きこもりに関する心理面を解説いたしました。

引きこもりや不登校に関する悩みは、各家庭に応じた対応が必要です。そして、親としてはついつい、「子供が引きこもり・不登校になってしまった」ことが焦点になり、どうしたら良いのかということに関心が高まってしまいますが、実は子供に限らずに親自身が相手の反応を見ながら適切な対応をとったり、自身の意思だけではなく相手の意思を踏まえた言動を選択することができない方も少なくない印象があり、子供の問題だけではないこともあります。

その場合には子供の活動の場を、学校外と家庭外で見出すことは家庭内でのぎくしゃくという点では良い事かもしれませんが、引きこもり不登校や家庭の問題は実際はもっと複雑に絡んでおり、現実そう簡単にはいかないことが多いものです。実際はもっと泥臭く一つ一つ積み重ねて取り組んでいくことが多いものであり、一人ひとりのメンタルケアが欠かせません。

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監修者

カウンセリングルームここまり医師

カウンセリングルームここまりの精神科医師と公認心理師・臨床心理士による記事記載と投稿。

医師としてのメンタル診療やメンタルヘルスに関する視点だけではなく、様々な人たちの日々の悩みなどにも注目して記事の記載や監修を行っています。カウンセリングルームここまりは臨床心理士と公認心理師の所属する名古屋市の金山と名古屋駅のカウンセリングルームです。

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