心理 医学
2023.06.23
強迫性障害「行動を止めることによる不安の増加とは」
強迫性障害について
強迫性障害(obsessive-compulsive disorder)は、依然は不安障害や不安症に分類されていましたが、DSM5では、不安障害から分離して、独立した疾患概念となりました。
強迫観念とは
強迫性障害の重要な不安や迫りくる心配でもあります。
まだ汚れているかもしれない
鍵をかけ忘れていたかもしれない
火を消し忘れたかもしれない
といった内容を強迫観念と言いますが、どれも生活で気を付けるような内容であるために、それがどうしてメンタルの疾患なの?と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、強迫性障害での強迫観念とは、これらの心配の程度が強く、必要以上に何度もくり返し頭の中に浮かんでしまう考えを指しています。
強迫行為とは
まだ汚れているかもしれないと心配で、「何度も手を洗ってしまう」
鍵をかけ忘れたかもしれないと心配で、「何度も戸締りを確認してしまう」
火を消し忘れたかもしれないと心配になって「何度も火の元のチェックをしてしまう」
という繰り返しの行動を、強迫行為と言います。
日常生活や社会生活に支障が起きてしまう
強迫性障害においては、本人ですらばかばかしい行動だと思っているにも関わらず、その繰り返す強迫行為をしないと、とんでもないことが起こる、何か不吉なことが起こるのではないかという不安が強い事が疾患の特徴でもあります。
そして強迫性障害では、何度も火の元をチェックしてしまうために、家から出られない、朝の確認行為が何度もあり出社に遅れてしまう、といった生活への支障が出てしまうのです。
強迫性障害の巻き込み型について
また、時に、確認が十分に行われているのか心配になり、自分の代わりに親に自宅に確認をさせたり、自分の確認が正しいのかの証人として家族にも一緒に確認行動に加わってもらうなど、巻き込み型の強迫性障害という概念もあります。
心理療法による治療とは
強迫性障害では、強迫行為を行わないと、何かとんでもないことが起こる、不吉なことが起きるのではないかという不安が出ます。心理療法では、不安に対する認知面に注目し、
「強迫行為」をしないことと「不安」が強く結びついてしまっている(認知のゆがみ)
「不安」に対する耐性の低下がある
など、不安に対する認知のゆがみを整理していくことになります。
そして、行動療法として、不安の弱い状況や行動から、強迫行為を行わなくても、不安は減衰していくこと「成功体験」として積み重ねていくことになります。
時に、背景や発症のきっかけとして、小さな失敗やヒヤリ・反省を経て、強迫行為に進展していることも少なくないので、一人ひとり経緯や状況や環境についてのヒアリングも大切なこともあります。
さいごに
強迫性障害の強迫行為、強迫観念そして、不安に対する認知面や行動療法について記載をいたしました。強迫性障害における心理療法は一つ一つ紐解きながら、不安に対する認知や考え方を見つめなおしていくという理解になります。
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監修者
カウンセリングルームここまり医師
医師としてのメンタル診療やメンタルヘルスに関する視点だけではなく、様々な人たちの日々の悩みなどにも注目して記事の記載や監修を行っています。カウンセリングルームここまりは臨床心理士と公認心理師の所属する名古屋市の金山と名古屋駅のカウンセリングルームです。
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