カップルカウンセリングってどんな感じで進めるの？『親しい間だからこそお互いに理解できないことが辛い』

【パートナーだからこそ】相手から適切に理解されていないと思った時に感じる気持ちは辛い

恋人や夫婦などその関係に何らかの問題が生じることでメンタルヘルス不調を呈することもあります。皆さんも恋人同士や夫婦で喧嘩をした後に気分が落ち込んだり、イライラが治まらないという経験をしたことはないでしょうか？

親しい間柄だからこそ、相手から適切に理解されていないと思った時に感じる気持ちは辛いものとなりがちです。また、こうした辛い気持ちがあることで、相手と自然に話すことが難しくなるなど関係がギクシャクすることもあります。

こうした状況が続くと、お互いの関係性に否定的な変化が生じ、そのストレスから様々メンタルヘルス不調のリスクが高まってしまいます。

カップルカウンセリングとは

カウンセリングでも、こうした恋人や夫婦などカップルの問題解決をサポートしています。皆さんはカウンセリングと聞くと、相談に来られた方（以下、来談者）とカウンセラーが1対1で問題について話し合う場面をイメージすることが多いかもしれませんが、こうしたカップルの問題を扱う際には、カップルが一緒にカウンセリングを受けるカップルカウンセリングという方法もあります。

改善や解決の主役はあくまでもカップルの二人である

カップルカウンセリングでは、まずカウンセラーがそれぞれのお話を丁寧に聴きながら、カップルとして「どのようなことに困っているのか」、「どういうことが問題なのか」、「どのようにできれば良いと思うか」などをみんなで確認していきます。

カップルのお二人が問題と思うことや期待される改善などについて納得できれば、その改善や解決を実現させるための方法をカウンセラーと一緒に検討していきます。この際、改善や解決の主役はカップルの二人であるという考えのもと、カウンセラーはそのためのお手伝いをする役割を担います。

カップルカウンセリングの例をご紹介

夫婦のAさん（夫）とBさん（妻）

Aさん（夫）とBさん（妻）は結婚したばかりの夫婦ですが、Aさん（夫）は仕事が忙しく、ほぼ毎日仕事に出ていました。Bさん（妻）は結婚を機に仕事を辞めたため、一日のほとんどを家事をして過ごしていました。Bさん（妻）は夫と一緒に過ごす時間が少ないことに不満を感じていましたが、Aさん（夫）が仕事で忙しくしているのを見て「邪魔をしてはいけない」と自分の気持ちを抑えていました。

Aさん（夫）とBさん（妻）は結婚前に子どもを授かって楽しい家庭を築くことを夢見ていました。ある日、Aさん（夫）が仕事から帰ってきたときに、Bさん（妻）は子どものことについてAさん（夫）に何気なく話をしました。しかし、Aさん（夫）は日頃の仕事の疲れもあって、Bさん（妻）の話に曖昧な返事しかできませんでした。

喧嘩や会話の低下について

それを見たBさん（妻）は悲しみがこみ上げ、これまでの不満をAさん（夫）に声を荒げて話し出しました。このことでAさん（夫）も苛立ってしまい、Bさん（妻）と口論するまでになってしまいました。その日以降、二人に会話は極端に少なくなり、顔を合わさない日も出てきました。

Bさん（妻）はAさん（夫）と仲直りしたいと思いましたが、口論した日のことが頭をよぎって、「夫との関係がさらに悪くなるのではないか」「夫の考えや発言にはがっかりした」と不安や落ち込みになり切り出すことができませんでした。Bさん（妻）は不安や落ち込みから不眠傾向に陥り、あるとき、家事の最中に倒れているところを夫に発見され、病院受診することになりました。

カウンセリングルームへの相談について

医師は二人の話を聴き、夫婦の現在の関係性がBさん（妻）の大きなストレスや不調になっていることを伝え、カップルカウンセリングで相談することも提案しました。

Aさん（夫）は妻がそこまで思い詰めていることに気づけなかったと後悔し、お互いの関係を改善しようとカップルカウンセリングを希望しました。Bさん（妻）もこれに同意したことでカウンセリングルームにてカップルカウンセリングが実施されることとなりました。

カウンセリングルームでの様子について

カップルカウンセリングでは、カウンセラーがまず二人の話を丁寧に聴くことから始まりました。Aさん（夫）は「今まで妻は自分の考えをわかってくれていると思い、しっかり話ができていなかった」「自分も仕事が忙しくて辛かった」と話しました。Bさん（妻）は「夫が自分をどう思っているかが心配だった」「夫が仕事に夢中になって、二人で子どもたちと幸せに生活するという夢も忘れてしまったのではないかと不安になった」と話しました。二人はこうしたことを今まで話し合ったことがなかったということです。

自分たちの気持ちを整理するタイミングも

カウンセラーは、カウンセリングの中でさらに自分たちの気持ちを話してみることを提案しました。Bさん（妻）は夫と一緒の時間を持ちたいことを伝えました。すると、Aさん（夫）も妻と一緒に楽しく過ごす時間を持ちたい気持ちを話しました。Aさん（夫）としては、妻と、将来的には子どもたちと一緒に幸せな時間を過ごすために、今は頑張って仕事をして稼ぎを得なければと考えていたのです。Bさん（妻）は夫のこの話を聴いて大変安心したと述べています。

親しい間柄であるために、恥じらいや話題に上りづらいこともあることへの理解

親しい間柄ゆえに話題に上らなかったり、話しづらい内容もあります。カップルの問題では、こうしたお互いの気持ちや考えを伝えないことで関係不和が起こることもあります。Aさん（夫）とBさん（妻）も二人とも同じ夢に向かうことを望んでいたのですが、夫婦間で適切な会話がなされなかったことで、様々な問題が生じていました。

カウンセリングの目指す先とは

カウンセラー通してではなく、お互いの気持ちを少しづつ会話ができるように目指す

カップルカウンセリングをきっかけにAさん（夫）とBさん（妻）は自分たちの意見や気持ちを互いに表明するようになりました。どのように相手に伝えてよいかわからないときなどはカウンセラーがそのサポートを行いました。次第に家庭での対話も増えるようになり、Bさん（妻）の体調も良くなりました。Aさん（夫）とBさん（妻）は「自分たちだけでは落ち着いて話せないことをカウンセリングの助けを借りてお互いに話せるようになったことが良かった」と話しました。

二人が自分たちで適切にコミュニケーションを取れるようになったこと、Bさん（妻）の状態も改善が続いていることから、カップルカウンセリングを終結することとなりました。

さいごに

親しい間柄になってしまうと、相手の気持ちを確認することが、逆に臆病になってしまったりすることはあるかもしれません。もし、二人で問題に取り組みたいけど、お互いにうまく話せないことがあるとき、カップルカウンセリングは改善や解決のサポートの一つとなります。より良い関係を作るために、カップルカウンセリングが役に立てば幸いです。