アダルトチルドレンや機能不全家族とは

家庭 子育て 友人関係

2023.04.10

アダルトチルドレンや機能不全家族とは

機能不全家族とは何でしょうか?

暴力やネグレクト等の、身体・精神的な虐待がなくても『機能不全家族は存在します』。

機能不全家族は、家族であるにも関わらず、抑圧やコントロール・価値観を押しつけあう関係が家族に存在していることを指し、現代の多くでは子どもが親からのコントロールを受け、長年に渡り我慢と葛藤を経験してしまっていることを指します。そして、このような家庭内での抑圧と我慢と葛藤の為に、『本来の私らしさに違和感』を感じ、『本当の自分の意思が分からない、あるいは自分の意思を伝えることが苦手』なまま大人へ成長し社会生活での様々な支障をきたしてしまっていることが多いです。

子ども時代の葛藤や我慢と抑圧が与えるものとは

子ども時代の葛藤や我慢・抑圧が与えるものは、その後の成人に於いての人格面の形成にも影響を及ぼします。

社会性を身に着ける上で、必要な経験もある

もちろん、社会経験が未熟な子供であるがために、納得いかないこと、我慢する事、そして社会のルールという制限や抑圧というものは存在しますし、社会の脳を形成する上で、そのような経験が大変重要です。

家庭内での抑圧や葛藤というのは、『子供らしさ・私らしさ』に影響を及ぼすことも

しかし、葛藤と抑圧・我慢というのが、家庭内という閉じ込められた空間で発生するときには注意が必要です。

家庭内という子供にとって身近な空間の場合では、『家庭内』が子供にとって『生活の場』であり『一番大切な人間関係』であります。

子どもなのに『如何にして、家庭内でうまくやり過ごしていくべきか』という意識へ

つまり子供にとっては、代替しようのない世界であるために、家族内での抑圧と我慢や葛藤を経ることで

子どもであるのにも関わらず『その家庭内で如何にして過ごしていくか』という意識が中心になり、

親の顔を伺ったり

自分の意見を伝えるのを止めたり

親が満足する自分を演技したり

親を怒らせないように緊張したり

家族内で求められる役割に徹したり

という面を一番に考えながら、あるいは自然とこのような対処法を身に着けながら、子供時代を過ごすことになってしまうのです。

【アダルトチルドレンとは】成長するにつれて、自分がどういう状態なのか気が付くことも

子どもは心身ともに成長します。中学➡高校➡大学➡就職と、成績や進路・人間関係など、親の影響よりも、自分自身の振舞が大きく影響するステージへと移行してゆきます。

しかし、その過程で、周りと比較して、

自分の意見が上手く言えなかった

周囲の顔色を窺ってしまう

周囲から求められる自分を演技してしまう

親しい人間関係でも本当の自分を出せない

といった事態に苦悩をして、自分がどういう状態だったのか、家庭がどういう状態だったのかということに気が付くことがあります。

アダルトチルドレンについて

そしてこのように、機能不全家族の中で過ごしたために、親の期待する自分を演じ、親のいう『いい子』に囚われてしまうことや、家庭環境がきっかけで大人に成長していく過程で、仕事や生活で支障を来してしまった、アダルトチルドレン(AC)という言葉も良く用いられるようになりました。

いずれ、親は分かってくれるのだろうか?

残念ながら、子供のこれらの困りごとは、親は気が付いていないことも多いです。なぜなら、親である自分の意見や振舞いに基づいて、子供であるあなたにストレスや我慢を強いているという認識ではなく、むしろ良い方向へ導いている・教育の一環であると考えている場合もあるからです。

子どもと親の意見の違いを認められず、子どもの意思に反する押しつけやコントロールは、相手の反応を見ながら適切な距離感や対応ができない親自身の未熟さにもあります。

親自身が気が付いて対応ができることもありますが、場合によっては、そのまま親の記憶は将来まで引き継がれ、あなたが成人した立派な大人になっても、当時の出来事やあなたの辛かった想いを親と共有したり理解し合えることは難しいかもしれません。

機能不全家族やアダルトチルドレンに関連した悩みというのはそういう点でも特殊かもしれません。

カウンセリングについて

機能不全家族内における、これらの子供時代の囚われは、周囲が思う以上に非常に強く根深いものです。

単純に『自分で考えるようになればいい』『自分でやりたいことをすれば良いのでは』ではないのです。特に子供時代の刷り込みは大きく、自分ではなかなか殻を破りきれない方も多くいます。

また、そもそも自分の親への相談も「そんな機能不全家庭なんかじゃなかった」というスタンスで、話題すら共有できるような状況じゃないこともありますので、カウンセリングや心理療法は時に重要になります。

過去を癒すことから始まる方もいる

相談される方の状況によってアプローチは異なりますが、機能不全家族で悩まれている方の場合、過去を癒すことから始まる方もいらっしゃいます。

『子供のころどのような様子だったのか』『どういうことを考えていたのか』『例えばどんなことがあったのか』カウンセラーと対話を通して、相談者の本当の当時の気持ちを振り返ってみることもあります

やってみること、やってもらえた事を増やしていくことも

時に褒められることなのに、『自分はこれじゃまだまだです』『また褒められるようなものではない』となかなか自分を褒めたりできず、自己肯定感が低くなっていることもあります。

それだけではなく、自分で物事を決められなかったり、選択できなくなってしまっていることもあります。

できていないことに対して注目しすぎず、カウンセラーと共にできていることを共有したり、ときに褒められるという経験を受けてみることもあります。また、少しづつでも、まず週末をどう過ごしてみるのか等、自分で決めてみることを増やしてみるなど、相談者の状況や様子に応じたカウンセラーとの二人三脚を行っていることもあります。

さいごに

今回は機能不全家族について記載をしました

カウンセリング相談も非常に増えてきている内容であり、幼少期や子供の時のトラウマや囚われがどれだけその後の社会生活に影響を及ぼしやすいのかを反映していると思います。

もしこのような機能不全家族やアダルトチルドレンに関する内容で悩んだ時、家族が相談できる相手でないことも多いため(自覚のない家族もいる為)、どうしたら良いのか途方に暮れてしまうことも少なくありません。

今回はカウンセリング内容に関しては、深くは詳説しませんでしたが、それはお一人お一人の背景や環境に応じた取り組みがなされる内容だからでもあります。それだけではなく、機能不全家族やアダルトチルドレンでお悩みの方の多くは、誰かに相談する事に遠慮がちなこともあります。決してカウンセリングのスタイルにとらわれることなく、貴方自身の為のカウンセリングとして取り組むきっかけとなることを願っています。

カテゴリ:

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監修者

カウンセリングルームここまり医師

カウンセリングルームここまりの精神科医師と公認心理師・臨床心理士による記事記載と投稿。

医師としてのメンタル診療やメンタルヘルスに関する視点だけではなく、様々な人たちの日々の悩みなどにも注目して記事の記載や監修を行っています。カウンセリングルームここまりは臨床心理士と公認心理師の所属する名古屋市の金山と名古屋駅のカウンセリングルームです。

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