二次元の持つ意味について。カウンセリングで相談があるとき『その弐』

友人関係

2023.03.26

二次元の持つ意味について。カウンセリングで相談があるとき『その弐』

二次元・アニメは、互いの共感を得られやすく、仲間を作りやすい

コミュニテイー内でも友好的な関係を築きやすいメリット

特に二次元はキャラクター像や人物・感情の表現が「とても丁寧に表現されている」ことも多く、結果として、受け手同士でぶつかることなく「お互いの感じるままの気持ち」であっても共感を得やすいです。

そしてその共感は、コミュニティー外の人を傷つけることも比較的少ないという点も特徴です。

自分の話を分かってくれる、好みを理解してくれる人に出会える

もちろん、そこには「個人それぞれの好み」は当然ありますが、「共感」される部分があれば、SNSの普及もあって、見ず知らずの人とでも容易に語り合いつながることができます。そのため、キャラクターやストーリー展開について議論したり感想を共有したりすることもでき、自分の話を分かってくれる人がいると感じられる機会が多くなるようです。

また、そのような自分を分かってくれる世界で、もっと「自分の好み」を主張してみたりなど、コミュニティーはさらに深く広がってゆきます。

二次元・アニメは人とのつながりや、人生の彩り、コミュニティーの文化にも影響を与える魅力があります

二次元は人とのつながりや、人生の彩り、コミュニティーの文化にも影響を与える魅力があります。しかし時には、その二次元の持つ「魅力的」で「感じるままの自分で良い安心感」のある世界観が、理不尽な現実世界との大きなギャップを感じ、人間関係で大きく悩んだり、現実世界と大きな隔たりを感じてしまうこともある。という点については先にも記載をいたしました。

↓↓記事についてもご覧ください

カウンセリング内でもご相談いただけることが大変増えました

現実世界での「困りごと」「悩み事」をカウンセリングで扱い、セラピーを進めていく途中で、その方の「二次元」に対する【意味】や【大切な想い】について改めて分かり、カウンセラーと一緒に触れていくことも最近は多くなってきております。

カウンセリングでの「現実での人間関係の悩み」について

「現実での人間関係の悩み」を抱えている人の中に、「二次元の世界を非常に重要視している方」や、知らないうちに「現実世界」とのギャップとしての違和感を大きくしてしまい、ますます「現実世界」に対する悩みを抱えてしまう相談者も実は少なくありません。

もし、二次元の話が出た時は、どういうところが好きなのか、二次元の中でもどういうジャンルが好きなのか、お気に入りの作品はあるのかだけでなく、「二次元」の中にも幅広いジャンルがあり詳細に分かれていることも踏まえ、 相談者から教えてもらうことは非常に多く、そして好みも千差万別です。

相談者の好みを語ってもらうことで、悩みや問題を理解できるきっかけになる場面もある

相談者さん自身がどういうジャンル、作品が好きなのかということを聞き、感じる「二次元の良さ」を語ってもらうことは、 相談者の心の問題をそこから理解していくことができるきっかけになることも実は少なくありません。

特にアニメでは学校生活を題材にしていたり人間社会のダークな部分をテーマにしていたりする作品も多いため、そういったところから患者さん自身の抱えている問題とリンクすることもあります。 まずは二次元の中の話として語ってもらい、そこから患者さん自身の問題に焦点をシフトしていく、ということはよくあります。

時に、自分の経験や自分自身を二次元の世界に投影していることもある

「二次元」の世界に「共感できる世界」「自分を理解してくれる相手」を無意識のうちに追い求めてしまっている方は少なくなく、現実世界での自身の体験を二次元の世界に投影し、自分が現実世界で体験できないことを二次元の世界で味わったり、似たような境遇のキャラクターに自分自身を重ねて楽しんだりするということは実は多いと思われます。

【カウンセリング】現実面の理解者としてカウンセラーと共有できるメリット

もし、現実での人間関係の悩みに、二次元と共通する部分があると分かれば、二次元と現実世界の体験との共通点を整理し、相談者自身の悩みをカウンセラーと共に取り組み共有を深めていきます。

二次元の世界だけではない共感の場所を得られることは、現実の悩みに向き合うきっかけにも

来談に至るまでの傷つきやつまずきなどを共有するのはもちろんの事、時として、二次元での世界を視点に現実での理不尽さを拡大させていることがあれば、現実世界でどのようなことがあったのかを含めて、詳細に背景を相談者をともに深めていくこともあります。

良き理解者である二次元の世界だけではなく、カウンセラーと共に共有を図ることで、現実面の理解者として相談者の抱える問題について向き合うことを目指し、この先の人生どういう風に人間関係を築いていくか、どう自分で選んで歩んでいけるかという大まかなスタンスを構築していくことを目指します。

きっかけができることで、周囲に大きく左右されすぎず、自分なりの方向性ができることも

ある程度自分の中での方向性が見つけ、カウンセリングだけではなく、現実生活に持ち帰ってもらい試行錯誤もくり返しながら修正を重ねていくと徐々に自信がついていき現実での人間関係にも立ち向かっていくことができるようになります(立ち向かっていけるようになることを目指します)。

自分なりの方向性やスタンスがなく、すべて周囲からの意見や評価に大きく左右されてしまっている相談者さんも少なくないため、主軸となる「自分が困っていることにどうありたいのか」が出来上がってくると、少しづつ現実生活での負荷にも耐えられるようになっていくことも多いのです。

さいごに

職場や学校で悩み、カウンセリング目的で来談相談され、話を聞いていくと、その方にとって二次元がとても大切な意味をもつ、ということは実は少なくありません。そしてその二次元の世界は相談内容とリンクすることも珍しくなく、相談者にとって安全で安心できる環境に感じられる世界であることもあります。

カウンセラーが相談者の現実の悩みの共感者として支えすることや、相談者の抱える悩みについて一緒に理解し取り組むことも大切な意味となります。

監修者

カウンセリングルームここまり医師

カウンセリングルームここまりの精神科医師と公認心理師・臨床心理士による記事記載と投稿。

医師としてのメンタル診療やメンタルヘルスに関する視点だけではなく、様々な人たちの日々の悩みなどにも注目して記事の記載や監修を行っています。カウンセリングルームここまりは臨床心理士と公認心理師の所属する名古屋市の金山と名古屋駅のカウンセリングルームです。

※只今、オンラインカウンセリングの新規受け入れを休止いたしております。相談歴がある方は担当カウンセラー宛に当ルームへご連絡ください。

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